手取りを増やすには、控除を理解することが重要です。
なぜなら、控除をうまく使うことで、税金を合法的に減らせるからです。
この記事では、控除の意味や種類をわかりやすく解説します。
控除とは?
控除とは「金額を減らす」という意味です。
所得税や住民税の算出に使われ、税金を安くする効果があります。
ざっくり書くと、次のイメージです。
控除される → 収入が減る → 税金が安くなる
要するに、国が認めた「税金を安くする特典」という感じですね。
控除の種類
控除には次のものがあります。
- 給与所得控除
- 所得控除
- 税額控除
- 青色申告特別控除
それぞれ、わかりやすく解説します。
給与所得控除
会社からお給料をもらっている人が受けられるのが「給与所得控除」です。
給与収入から最低65万円、最大で195万円が差し引かれるので、税金が安くなる効果があります。
※給与所得控除額は55万円が最低保障額でしたが、2025年(令和7年)度の税制改正により65万円に引き上げられました。(参照:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」)
なぜ給与所得控除があるかというと、お給料を稼ぐのにも色々と「経費」がかかるからです。
サラリーマンの「経費」みたいなもの
サラリーマンをやるにしても、様々な「経費」がかかりますよね?
スーツを新調したり、カバンを買ったり。
自営業者には経費が認められているのにサラリーマンには認められないって、よく考えると不公平な気もします。
だから、国は「サラリーマンにも経費を認めてあげましょう」と給与所得控除を作ったんです。
お給料をもらっている全員が対象
給与所得控除は、会社からお給料をもらっている人なら誰でも受けられます。
- 年収500万円のサラリーマン
- 学生アルバイト
- パート勤めの人
なお給与収入によって控除額は異なり、65万円~195万円です。
給与所得控除で税金が0円になるケースも
収入によっては、給与所得控除によって税金が0円になることもあります。
たとえば収入が100万円の場合、給与所得控除と基礎控除(※「所得控除」で説明します)が差し引かれて所得が0円となり、所得税が発生しません。
収入100万円 - 給与所得控除65万円 - 基礎控除95万円 = 所得0円(所得税ナシ)
給与所得控除の65万円と基礎控除の95万円を足すと160万円になることから「160万円の壁」と呼ばれ、所得税が発生するボーダーラインとなっています。
※以前は給与所得控除55万円と基礎控除48万円の「103万円の壁」でしたが、2025年(令和7年)度の税制改正により変更となりました。(参照:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」)
所得控除
所得控除とは、所得から差し引かれるものを指します。
所得金額が減ることで、税金が安くなる効果があります。

なぜ所得控除が必要かというと、お給料などから国民年金や健康保険を払っているからです。
払った分を収入から差し引いてくれないと、二重にお金を払うことになってしまいます。
また、各家庭の事情にあわせて、さまざまな控除があります。
家庭の事情を考慮したさまざまな所得控除
所得控除には、各家庭の事情に配慮したさまざまな種類があります。
たとえば次のとおり。
- 妻が専業主婦 → 配偶者控除
- 子どもがいる → 扶養控除
- 入院した → 医療費控除
上記に該当する場合、所得から一定額を減らせるため、税金が安くなります。
全部で15種類
所得控除は、先ほどご紹介したものとあわせて15の種類があります。
種類 | どんなとき(どんな人)? |
---|---|
基礎控除 | 全員(※所得制限あり) |
配偶者控除 | 年収103万円以下の配偶者がいる |
配偶者特別控除 | 所得が一定額を超える配偶者がいる |
扶養控除 | 16歳以上の扶養親族がいる |
障害者控除 | 本人や配偶者、扶養親族が障害者である |
寡婦控除 | 夫と死別または離婚した |
ひとり親控除 | ひとり親である |
勤労学生控除 | 働きながら学生をしている |
社会保険料控除 | 社会保険料を払っている |
生命保険料控除 | 生命保険料を支払った |
地震保険料控除 | 地震保険料を支払った |
小規模企業共済等掛金控除 | iDeCoなどの掛け金を支払った |
医療費控除 | 一定額以上の医療費がかかった |
雑損控除 | 災害や盗難にあった |
寄付金控除 | ふるさと納税等で寄付をした |
すべてを覚える必要はありませんが、いざというときに損をしないよう、頭の片隅に入れておきましょう。

税額控除
「税額控除」とは、算出した税額からさらに差し引かれるものです。
税額控除には、以下のものがあります。
- 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
- 配当控除
「住宅ローン控除」は、住宅ローンを利用して家やマンションを購入した人が受けられる税額控除です。
また株で配当金を受け取っている場合には「配当控除」が受けられます。
青色申告特別控除
自営業者で青色申告をしている人が受けられるのが「青色申告特別控除」です。
青色申告を行うことで、最大65万円が所得から控除されます。
なぜ青色申告にこのような特典があるかというと、帳簿付けが面倒くさいからです。
一方、白色申告は帳簿付けが簡単なぶん、控除は一切ありません。
なお青色申告をする場合には、税務署に「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
まとめ
今回は控除とは?について解説しました。
控除は節税にとても大切なものなので、上手に活用してください。